スーパーファミコン用ゲーム開発機 <1990年頃>
スーパーファミコン用ゲーム開発機 <1990年頃>
ここでいう【スーパーファミコン用開発機】とは、インテリジェントシステムズ社製スーパーファミコン開発機「IS-DEBUGGER」や「IS-SOUND」(実物写真はここをクリック)である。
(他にもあるのだろうが、私はこれを使っていた。他のものは知らない)
スーパーファミコンが発売されたのは、1990年(平成2年)だから、その開発機はその以前にはあったのだろう。
私の記憶では、最初にこの開発期を眼にしたのは、スーパーファミコンでのゲーム開発が決まってすぐで、任天堂の情報開発室から2、3セットが届いた。(写真のものとは別物。写真のものは、後に独立してゲーム開発を始めてから、ゲーム発売会社が任天堂から購入して支給されたもの)
わたしは、キャラクターデザインやサウンド(サウンド制御プログラム開発、曲や効果音の作成)担当だったので、「IS-SOUND」のほうで作業を行っていた。
スーパーファミコン開発を主な仕事にしていた当時は数年間、毎日のように使用していたが、もう昔のことなので使い方などはまったく記憶にない。ちょっと悲しい。
この「IS-SOUND」は、スーパーファミコンのプログラム開発(デバッグ)機能に、サウンド開発(デバッグ)機能を付け加えたものなので、サウンド開発だけのものではなく、スーパーファミコンのプログラム開発にプラスして、サウンド開発も付いているもの(だと思う)。
マニュアルの表紙には、以下のように印刷してある。
「S-HVC プログラム開発システム S-HVC DEBUGGING ツールソフト SHVC取扱説明書 IS-DEBUGGER、IS-SOUND 共通 Nintendo INTELLIGENY SYSTEMS」
「IS-SOUND ツールソフト スーパーファミコン サウンド」開発支援ソフトウェア 取扱説明書 Nintendo INTELLIGENY SYSTEMS」
プログラムはパソコン(AT互換機、dos/vとも)でコードを書き、コンパイルした実行ファイルをこの開発機に送って動作確認(デバッグ)をした。
この開発機は、DOS-Vマシン(富士通FMR指定であった)とSCSI接続し、DOS-Vマシン側でコマンドを入力して使用した。 実際のゲーム画面(ゲーム動作)はビデオ出力によりアナログTVに出力して見ることができた。
これ以前のファミコン用ゲームの開発は、パソコンで書いたプログラムをROMに書き込んで、そのROMを基板にセットし、それを実際にファミコン本体に差し込んで動作確認(デバッグ)をしていた。
ROMではあるが、ガラスの小窓が背中についていて、専用のイレーザーで紫外線を当てると、書き込まれた内容が消去でき。また書き込むことができた。十数回は、繰り返し使用できたと思う。
ROMに書き込んで基盤に差し込んで実際に動作させる開発方法は、忍耐の一字である。
よくわからないバグがあると、プログラム内にチェックのためのコードを書く。
あちこちにトラップを設定して、画面に処理中のパラメータなどを表示させたりするコードも書く。
そして、それをROMで動作させ、確認する。
大げさではなく、それを延々と繰り返すのだ。 ほんとうに面倒だった。
この開発機は当たり前だがパソコンと接続されているので、エミュレーターが使え、ROMで動作させる必要はない。
その上、色々なデバッグ機能が用意されていたため、開発のときのストレスがかなり軽減された。
とはいえ、WINDOWSでなく、まだ【DOS-V(AT互換機で動作)】の時代である。 今となっては、想像もつかない開発環境であった。
私は今もゲームではないがプログラムを書いている。
当時の開発環境のことをもっと書きたいが、愚痴だらけになってしまいそうなので、またの機会に。
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