江戸時代には刑罰の一種?として、
「畏れ入れ!」
というのがあった(らしい)。
「たいした罪でもないし、牢屋に入れるのも面倒だし、まあ許すから頭を下げておけ。心の中はともかく、表面上だけの【反省してるフリ】でいいから」
ということ(らしい)。
武士でない身分の者ならば、基本的には、名誉心や自尊心が肥大していないので、功利的に考えて、あっさり土下座し、
「畏れ入りましたぁ」
と、役人の御威光に震えてみせる。
それでさっさと帰れるんなら、安いもんだし。
世の中に、謝罪会見というものがある。
あの形式は、日本独特じゃなかろうか。
まず、西洋にはなかろう。
あれがまさしく、
「畏れ入れ!」
という日本の奇怪な伝統芸能みたいなものだと思う。
中国や朝鮮半島でも、ああいうのはあるし、謝っている者に対して、日本以上に罵声を浴びせて責め立てるのは見るが、
「畏れ入れ!」
という感じはない。
日本の場合は、直接の責任追及のための罵声や怒号よりも、
「なんか、謝りかたの【畏れ入りレベル】が足りないよなぁ」
という感じで非難する。
ああいうのを見ていると、
「日本の江戸時代って、そうとう独特すぎじゃね?」
と、感心するんである。
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