Jリーグ・チップスの大人買い [1] (レジに並んだ私の後ろに…)
Jリーグ・チップス [1] |
Jリーグが発足したのは、1993年のこと。 プロサッカーリーグの誕生で日本中が沸きかえった。 遠い昔である。 製菓会社名は忘れてしまったが、Jリーグ開始後に【Jリーグチップス】なるものが発売された。(製品名が違っていたら、ごめんなさい) ポテトチップスの小袋で50円くらいの値段だったと思う。 これにはもれなく【Jリーガーカード】が1枚おまけについていた。 私はサッカーにはほぼ無縁であったが、軽薄な性格もあってこの流行に少々乗り、テレビ観戦はもとより国立競技場などでの国際試合の観戦にも行ったりしていた。 そこに、Jリーグチップスの発売である。 私はカードを集めるような趣味もなかったが、なんとなく買ったJリーグチップスにカードがオマケでついているのを知り、最初は何気なく捨てずにとっておいた。 始めはカードにさほど興味もなかったのであるが、贔屓のチームもあったから、そのうちそのチームの選手のカードを集め始めてしまった。 そのうち他チームでも有名どころの選手のカードが欲しくなってきた。 悲しいかな、そういうのが人間の性である。 カードというものは1選手に1種というものでなく何種類もあったりするから、集めているとそういうバリエーションのものも欲しくなる。 1袋50円という値段のJリーグチップスであるから、私はいっぺんに数袋、そして十数袋、数十袋というようにまとめ買い(大人買い)をするようになった。 20袋買っても千円だから、大人としてはたいした額ではない。 その日も私はスーパーのカゴに、買占めみたいに数十袋のJリーグチップスを溢れるほどに入れて、レジの列に並んでいた。 「今日こそは、あの選手のあのカードが入っていますように!」 とか期待しながらである。 そのとき(鈍感な私であるが)ふと、なにやら微妙な視線に気づいた。 振り返ると私のすぐ後ろに一人の小学生(低学年)が立っていた。 彼は幼い純真な眼で、私のカゴの中の山盛りのJリーグチップスをじっと凝視している。 そして彼の小さな左手には『たった一袋』のJリーグチップスが握られていた。 もう一方の右手はぎゅっと握り締められ、たぶん、その右手の中には50円玉か100円玉が握られているらしかった。 私は不真面目でいい加減な人間なのだが、それを見た瞬間に(決して大げさではなく)、強い衝撃を受けた。 自分の【おごり(驕り)】に対してである。 同時に自分の【おごり】に気づかされたために、恥ずかしさでそこに立っていられなくなってしまった。 たった一つのJリーグチップスの袋を握り締めた少年の前で、カゴの中に大量のJリーグチップスを入れている私は自ら、『私は愚か者です』と証明しているようであった。 (私の勝手な内心妄想?) |
(このお題、つづく) |
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