【広島弁87】「どんぱぁ・どんくぅ」 小型のハゼ類あるいはその幼魚
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広島弁(安芸弁~備後弁)~岡山弁(備中弁)講座87
【どんぱぁ・どんくぅ】 小型のハゼ類あるいはその幼魚
今日は、当サイト管理者の【れたす】が担当します。
う~ん、懐かしい。
懐かしいとしか、言えません。
どんぱぁ。
小学生の高学年になると、安い投げ竿とリールのセットを買ってもらって、干潟を掘って採取したイソメやゴカイで魚釣りをするようになりましたが、それより幼いときは、落ちている枯れ枝や竹の棒を拾って、凧(タコ)糸みたいなものを先っぽに結んで、釣竿にしてました。
釣り針がないので、岸壁やテトラに自生している牡蛎を石で割って中身を取り出し、凧糸の先に結び付けて、それを潮の引いた浅い海に放り投げて、【どんぱぁ】を釣っていました。
幼い子供だから身体も小さいわけで、竿(枯れ枝など)は、ぜいぜい1m程度で、糸の長さも同じくらい。
ですから釣り方は、すぐそこの目で見えている水面下で、じっとしてる【どんぱぁ】の鼻先に、その牡蛎をゆっくり沈めるというものでした。
【どんぱぁ】は、イソメなどより牡蛎が好きです。たぶん。
【どんぱぁ】は、目の前の牡蛎をしばらく知らんぷりして、じっとしていますが、ふわふわと水流で牡蛎の白い身が揺れると我慢できなくなり、パクリとその大きな口でかぶりつきます。
それに合わせて、さっと竿(枯れ枝)を持ち上げるわけです。
針がないので、外れることも多いのですが、【どんぱぁ】は小さく軽く、大きな口で(自分の体に比して)大きな牡蛎の身を呑み込んでしまうので、そのまま釣り上げることができるのです。
エサの牡蛎は無数にあるし、【どんぱぁ】も、浅い海面下にあちこち、いくらでもいました。
だから、いくらでも釣れるので、飽きてしまいます。
【どんぱぁ】が食べれればいいのですが、どういうわけか(小さくて、色がどす黒い個体が多いからでしょう…)食べる対象ではなく、釣っては逃がしていました。
ハゼあるいはハゼ類(あるいはアイナメ類なども?)なので、食べれるとは思うのですが、海に自生する牡蛎と同じで、食べようと思ったこともないですねぇ。
牡蛎と言えば、広島は牡蛎の名産地ですが、私は牡蛎をそのように使っていたので、今でも生牡蠣は食べません。
魚のエサなので。
牡蛎フライは、ときどき食べます。
というわけで、【どんぱぁ】は、10歳くらいまでの釣り遊びの相手でした。
ほんとうに、懐かしいやつら!です。
海(瀬戸内海)のすぐ近くで育った私は、そこそこの釣り好きの大人になりました。
一時期、東京湾の埋め立て地の巨大テトラの上での夜釣りを好みました。
先きの細い5mくらいの竿でメバルの狙うと小型魚でも引きが楽しめ、電気ウキがゆらゆらと夜の海に沈んでいくのが、何とも趣がありました。
メバルのほかに、アイナメ、カザゴ、スズキ、クロダイなども釣れました。
ある夜、近くのテトラで釣っている人が帰り際に、私に声をかけました。
「いっぱい釣れたから、少し分けようか?」
私もそれなりに釣ってはいたのですが、せっかく声をかけてもらったので、彼の釣果を見せてもらいました。
私の釣っていたメバルより、ふたまわり大きなサイズばかりでした。すぐ、隣で釣っていたのに…です。
私が驚いていると、彼は、
「きみは、イソメで釣ってるだろ? 俺は金魚や小さいハゼを餌にする。生餌だと、大きいのがくるんだ」
と、種明かしをしました。
「金魚は店で買うんだが、今日のハゼは自分で海で獲ったやつだ。余ったからやろう。これで釣ってみなさい」
彼はそう言って、大きなメバルを数尾を、まだ生きている生餌のハゼをくれました。
ハゼは、小型電池ポンプで酸素(空気)を送って、生かしてあったものです。
彼が去ったあと、私はもらったハゼを懐中電灯で照らして、じっくり見ました。
生餌だから、幼魚のハゼでした。
そう、【どんぱぁ】です。
「あぁ、どんぱぁじゃん」
私の中に、懐かしい思い出が湧き出しました。
とても、この【どんぱぁ】をエサになどできません。
私はもらった【どんぱぁ】を、ぜんぶ海に逃がしました。
(注:この文はエッセイにも、同じ内容のものがあります)
標準語 | 広島(備後)弁 |
---|---|
(小型あるいは幼魚の) ハゼ類の魚 |
どんぱぁ どんくぅ |
<会話例1>
標準語 広島備後弁 |
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あそこに、ちっちゃいハゼみたいな魚がいるよ。 ↓ あそこに、こまぁどんぱぁがおるのう。 |
はにれた【備後弁まんが】 |
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