【絵馬018】 『したいけど、できない…
<今日のお題> |
『したいけど、できない。できるけど、したくない』 |
その絵馬に書かれた願い事の、本当の意味とは? |
【スノーウィー神主のつぶやき】
こういう願文を見ると、私はある言葉を思い出します。
誰もが聞いたことがある、あまりに有名なゲーテの言葉。
『したいけど、できない。できるけど、したくない』
というものです。
私はこれを13歳くらいのときに知りました。
そのときは子供だったので、この言葉の【深刻さ】というものは、さっぱりわかりませんでした。
ただ、
「なるほどなぁ。おもしろい言葉だ」
くらいには思ってたのでしょう。
そのとき読んでいた文庫本のページに、この言葉を書いていました。
その文庫本は、『シャーロック・ホームズの冒険』で、今でも持っています。
数年に一度くらい読みます。
内容がわかっている推理小説なんですけど、ストーリーより、文章を読んでいるうちに感じる19世紀末の英国の雰囲気が好きなんですねぇ。
この本を時たま読むと、冒頭で紹介したゲーテの、
『したいけど、できない。できるけど、したくない』
という言葉が私の少年時代の文字で書かれたページに出くわします。
そして私は毎回それにじっと見入ってしまうのです。
13歳の時に、
『したいけど、できない。できるけど、したくない』
という言葉を聞いても、
「それがどうした」
って感じだったでしょう。
13歳といえば、心身とも成長盛りで、体内では細胞分裂が活発に行われ、そのため食事の量も生涯で最も多い時期ですから、そのときの少年は、
「ボクには無限の可能性がある」
と、意識もしないで信じている頃です。
「したいけど、できない?」
頑張って勉強したり練習したりすれば、たいがいのことはできるはずだ!
「できるけど、したくない?」
やらなきゃいいじゃん!
そもそも、できるんだったら、いつでもできるんだし。
てなもんです。
それから、青年期を経て、大人(精神構造は、ほとんど子供のころと同じ)というものになり、ある日、
「お、こんなところに、こんな本が…。捨ててなかったのか」
と、あの『シャーロック・ホームズの冒険』の単行本を見つけます。
ゲーテの、あの言葉もすっかり忘れています。
で、何度も読んだ本を飽きずに読み進めて、あの手書きのあるページへ。
『したいけど、できない。できるけど、したくない』
なんといっても、13歳の時に、自分が書いたものですしね。
小説を読むのを忘れて、この言葉の意味を、いつも考え込んでしまうようになりました。
毎回です。毎回。
これは、すごく恐ろしい言葉です。
人生は思ったより長いし、思ったより、かなり短いですよ。
『したいけど、できない。できるけど、したくない』
なんて、かっこつけて余裕こいてるヒマないですよ。
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