つぶやき<002-1>失うということ 1
失うということ 1
『彼は正気を失った。 もし彼に正気があったとしたらの話だが…』 こういうのを何かで読んだけど、なんだっけ。 これはいろいろ使える。 『彼は恋人を失った。あの娘が本気で彼に惚れていたとすればの話だが…』 『彼女は気を失った。彼女が覚醒していたという確信が私にはないが…』 『その男は、最後の希望をも失った。彼に希望があったのかどうか知らないんだけど…』 『司令官は判断力を失った。そもそも彼に判断などできるわけがないのだが…』 『その行動で彼は仲間の信用を完全に失った。誰も彼を信じていなかったので、もともと無かった信頼を失うというのも奇妙なことではあるが…』 などなど。 要するに、 【もともと在りもしない(あるいは所有していない)何か】であれば、それを【失う】ことなどないということだ。 自分が何か特別なものを持っているというような考えは、 【独りよがり】【勝手な思い込み】【とんでもない勘違い】 だったりするということだ。 「キミのことを親友だと思っていたのに!」 と言われて、 「え、そうなの?」 と思うとき(思われるとき)が、その一例だろう。 この場合、 「彼は友情を失った」 と書くべきではなく、 「彼は独りよがりで勝手な思い込みをしており、自分に友達がいるというような、とんでもない勘違いをしていた!」 と書かれるべきだろう。 (つづく) |
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