犬といったら、”シェパード” [1]
犬といったら、”シェパード” (その1) |
まだ小学生低学年のころ、シェパードを飼っていた。 大昔の、昭和の話である。 シェパード(ジャーマン・シェパード・ドッグ)といえば警察犬というイメージを多くの人が持つのではないだろうか。 実際に、今でも日本の警察犬で、シャパードが最も多いそうである。(by Wik) 警察犬は、賢い(はず)。 だが、我が家にいたシェパード犬は、2匹とも残念ながら不出来であった。 おそらく、『だから』購入価格が安く、うちの親父にも買えたのだろう。 ------------------------------------ さて、私が9歳ころのある日、親父が何を血迷ったのか、 「シェパードを飼う!」 と言い出して、家族をびっくりさせたのであった。 我が家では親父以外は全員(母、私、弟)が猫大好き人間であり、【猫のタマ】が何を置いても主役であり、犬も好きではあったが、犬を飼うという発想はなかった。それも大型の外国犬なんて、である。 そこにその親父の、宣言だったのだ。 そもそも雑種の犬ならともかく、『シェパード』という犬種はテレビの外国ドラマで見たことがあるだけで、実物も知らず、 「ドイツの犬じゃろ?」 「でこうなるらしいのう(大きくなるみたい)」 と、我々は親父に対して消極的な拒否反応を示したのだが、親父はどういうわけか、 「近所で誰も飼っていない大型犬を飼いたい」 ということに異様な興奮を発していて、家族の反対意見を聴く耳を持たなかった。 母が、 「誰が世話するん?」 と訊くと、 「わしがする!」 と親父は答えていたが、これはペットを飼いたがる子供と親の会話と同じで、最初に飼いたがる者は、その熱中が冷めれば世話などしないんである。 母は自宅でお好み焼き店をやっており、一日中家にいるから、自分が世話をさせられるのが目に見えており、強硬に反対したが、親父は珍しく押し通した。 鉄工所で働いていた親父は、自分で大きな鉄の檻(犬小屋)を造り、狭い庭に備え付けた。 いつもダラダラしていた親父にしては、意気込みが凄かった。 まぁ、熱しやすく冷めやすいんであるが…。 私と弟は母の絶大なる影響を受けた【猫党】ではあったが、 「(そのうち大きくなるにしても)、可愛い子犬がきたら楽しいかもしれん」 と、多少期待しているところはあった。 ところが、連れてこられたのは、まだ若いのだろうが、すでに成犬に近いようなデッカイ犬であった。 9歳、7歳の私と弟からすると、猛獣に近い大きさなのだ。 そのうえ、そのシェパードは、我が家族に対し狂暴な唸り声をあげ、吠えまくり、首輪が千切れんばかりに紐を握っている納入業者を引っ張りまわし、やっとのことで犬小屋(鉄の檻)に入れられるのであった。 その夜、その犬は、ワォォ~ン!と夜空に向かって、吠え続けた。 子供の私は、 「とんでもないものが来たのう」 と不安になっていた。 我が家は、新興住宅地にあった。 昔の地方都市のことでもあり、家屋が密集しているとまではいえないまでも、町中なんである。 近所迷惑なことだったろう。 |
(つづく) |
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