【広島弁76】「やれん」 むり、できない
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広島弁備後弁の女子言葉編 |
名文備後弁訳 編 |
広島弁(安芸弁~備後弁)~岡山弁(備中弁)講座76
【やれん】 やんなっちゃった!、むり!、もうヤダ!、やってられっか!
今日の担当は【れたす】です。
そもそも【やれん】は、【やれない(できない)】という意味で、特に特徴的な広島弁(備後弁)でもなく、一般的な言葉と言ってもいいでしょう。
それをわざわざここで取り上げたのは、標準語的な【やれん】と、広島備後弁の【やれん】には、一部ニュアンスに差があるような気がするからです。
広島県や備後地方周辺に住む人間が、
「やれんわぁ」
と言ったりすると、
「ほんとうに、イヤだ」
という強い疲労感と憂鬱な気分が漂っています。
次のような場面で、使うのに似ています。
とある事情で主家を追われ、貧乏な生活の中で妻が病気になり、医者や薬にお金が必要なため、ついつい悪事に手を染めた浪人が、
「このガキも、わしらの顔を見たようじゃ。斬って川にでも捨てておけ」
と悪党の親分に言われたけれど、
「そんな非人道的・非人間的なことが、できるわきゃなかろうがぁ!」
と大声でおらぶ(叫ぶ)ところを、あえて気持ちをぐっと抑えて、低くつぶやくように、
「拙者はもう、そういう悪事に加担するようなことは、やれぬ」
と、拒否するときの、この【やれぬ】が、広島人備後人の【やれん】です。
(※音韻変化で、【やれぬ】→【やれん】)
わかりにくい?
備後弁で話される【やれん】は、単なる『できない』ということを超えて、『だからホントやめて…もうヤダよう』という深い拒否感を含んでいます。
とはいえ、備後人ももちろん、単純な拒否ということで、
「それ、やれん。せん!」(それはできない)
と、言います。
それとは別に、備後弁の【やれん】は、何かの行為が『できない』という意味ではなく、ぎゃくに『できるけど』、
『もう、やんなっちゃった。やだやだ、なんかもうや~だ』という疲労感の溢れるブルーな気分を表しているのです。
『できない』というより、『やんなっちゃった』と標準語訳したほうがよいでしょう。
標準語 | 広島(備後)弁 |
---|---|
もうヤダ、無理だぁ、 やってられない、 もうやんなっちゃったぁ |
やれん |
<会話例1>
標準語 広島備後弁 |
---|
私と結婚したからには、次のことを全部守ってね。 家事全般は、あなた。給料は全額、私に渡して、私からあなたにお小遣い出します。 あなたのスマホは、毎日チェックします。浮気やギャンブルは一切禁止。もしやったらすぐ離婚で、莫大な慰謝料をもらいます。 ↓ ウチと結婚したんじゃけ、次のことを全部守るんよ。 家事はみんな、あんた。給料はみんなウチがもろうて、ウチがあんたにお小遣いあげる。 あんたのスマホは、毎日チェックするけぇね。浮気やギャンブルは、いっこもいけんよ。もしやってしもうたら、すぐ離婚じゃし、えっと慰謝料をもらうけん。 |
え? そんなの…うそでしょ? なにそれ? ムリムリムリ!なに言ってんの? どうかしてるよ。 ↓ やれんのう…。 |
はにれた【備後弁まんが】 |
三原三万石 |
やっさだるマン |
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