<昨今の熊問題と初登山>
私が初めて登った山は、知床羅臼岳でした。
羅臼の町では、盆踊りの笛太鼓が鳴っていました。半世紀近く前のことです。
私は大学一年生で、北海道厚岸の酪農牧場で、ひと月住み込みアルバイトした後、バイト仲間であった別の大学の先輩に誘われて、登山をすることになったのでした。
山に詳しい先輩の指示で熊鈴をつけ、熊よけの笛を羅臼平付近まで、時折大きく吹きながら登リました。
その夜は、羅臼平にテントを張り、先輩から、
『福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件』
を詳しく聞きました。
臨場感があり過ぎて、夜の知床のテントの中で聞く話ではありませんでした。
翌朝、山頂から御来光を拝み、オホーツク海を眺めながら少し縦走しました。
下山路で、私の吹く笛は、より頻繁に、より大きな音になりました。
東京に帰宅してから、吉村昭氏の『熊嵐』『熊撃ち』を読みました。
その本が、今も私の書庫にあります。
報道で、そういうこと、いろんなことを思い出しました。
羅臼岳の登山路。
羅臼平でのテントの夜。
今回のこと、ほんとうに残念でなりません。心が痛みます。
(写真は、その時の羅臼平からの羅臼岳、羅臼岳山頂からのオホーツク海です)
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