つぶやき<005-04>ローマは一日にしてならず 4


ローマは一日にしてならず 4

さて、私は芸術家になりたかったが、ある時点で、私にその種の才能が乏しいことに気づいてしまい、たいへん失望した。

それまで小説や漫画を描いていたが、最初に書いたような【飽き】も感じていたので、似非芸術として、コンピュータゲームを作り始めた。
世の中にパソコンというものが、やっと庶民が購入できる価格で売り出された頃のことである。

初期のコンピューターゲームは、マニアである個人職人の手作りなので、ハード知識、プログラミング技術のほかに、音楽も絵もストーリー(アクションゲームであっても、それなりの世界観やストーリー牲がある)も、その作り手である【個人】が一人でやるしかなかった。

良く言えば、「個人で作る総合芸術」である。(…良く言い過ぎ)

そういう要素もあったので、私は、
『パソコンで動作する似非総合芸術であるゲーム』
の開発に没頭した。

が、それはある程度、『ゲームの作り方』がわかった後のことである。

他のところにも書いたが、最初はゲームを作る方法はさっぱりわからない。
ネットも参考文献も全然何もない。ホントになにもない。

当然だろう。
ゲームだって、まだ世の中に数えるほどしかないのだ。

どうやってゲーム作りを学んだかは別のところで書いたのでここでは書かないが、ようするに、
『作り方がさっぱりわからないうちは、まったく何も面白くないし、苦痛だけ』
という当たり前のことに、まず耐えねばならない。

そして、人は『先が見えないこと、面白くもないこと』には耐えられない。
耐えるようにできていないのだ。

ゲームの作り方がさっぱりわからない。
とっかかりもない。

そもそも、ゲームがほとんどないのだから、自分がどういうゲームをつくりたいのかもわからない。

私も耐えられなくて、癇癪を起し、ゲームを作るつもりで買ったパソコを押し入れに突っ込んで忘れることにした。

(つづく)

 

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2019年03月04日